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♢私立小学校訪問記/小林聖心女子学院小学校

2021.12.25

 門をくぐるとクスノキの並木に囲まれ、鳥のさえずりが聞こえる小学校がありました。

緑豊かな敷地は10万㎡を超えるそうです。この広大な敷地が小中高すべての子どもたちの成長を支えています。

 本日は世界32か国、140校以上の姉妹校がある小林聖心女子学院小学校のシスターである校長先生、副校長先生、教頭先生と面談しました。

 下記にお話しした内容を列記します。

【学校では、教育の目的をどのように考えていますか】

 「より良い社会の実現に貢献できる賢明な女性を育成する」が教育理念です。一人ひとりの全人格的成長を願い「魂を育てる」「知性を磨く」「実行力を養う」の3つを教育方針とし、知・情・意の教育を行っています。

・魂を育てる

 本学院では、キリスト教の価値観に基づき、毎日の生活の中で「祈る」ことを大切にしています。心静かに神に向かう「祈り」を通して、生命に対する豊かな感性を育むとともに、人を思いやることのできる真の自己確立へと導きます。

・知性を磨く

 知識を増やすだけでなく、自分の頭でその物事の背景までじっくりと考え、表現することを本学院では「知性」と呼びます。本学院独自のカリキュラムにより「知性」を磨くことで、これからの社会に求められる女性を育成します。

・実行力を養う

 活発な児童会や委員会、クラブ活動、豊富な行事を通して、主体的に企画・運営する力を養います。進んで役割を引き受け、行動に移すなかで、自ら周りに働きかけられる「実行力」を養います。

【受験対策はどのようにすればよいのでしょうか】

 ペーパーテスト、絵画・工作、集団行動、親子面接があります。

  1. ペーパーテスト

お話の記憶、言語、数量、推理など一般的な思考力の問題を行います。

2.絵画・工作

クレヨンを使って絵を書いていただきます。デッサン力ではなく、バランスよく塗れているか、塗り漏れがないか等、指先の調整能力を見ます。

3.集団行動

3~4人で買い物ごっこやおままごとをしていただきます。周りに気を使えるか、ルールを守れるかを見ます。集団行動の指示では、困ること(3人のグループで2つの物をどう分けるかなど)を入れ、どのように問題解決を図るかも見ます。

4.親子面談

普段の生活での親子の関わりや質問に対してきちんと答えられるか、ご家庭の教育方針について伺います。

【小林聖心学院小学校の教育の内容】

 本学院は子どもたちの成長に寄り添った4-4-4制カリキュラムによる12年間一貫教育を行っています。

3つのStageで、それぞれの発達段階に適した学習指導や生活指導を行うことで、子どもたち一人ひとりの確かな生きる力を育みます。

 昨今女子教育においては、児童の成長に関して教育的な問題が指摘されています。小学3~4年生でみられる「9歳、10歳の壁」、小学校から中学校への進学の際にみられる「中1ギャップ」、小学5年生から中学2年生でみられる「自尊感情の低下」などです。こうした女子特有にみられる発達段階を踏まえて、12年間を4年ずつに分けて構成された3つのStageでカリキュラムを編成しています。

StageⅠ:1年生~4年生(小学1年生~小学4年生)

【基礎・基本の徹底】

 学習面と生活面における基礎・基本の徹底を図り、全人教育の土台づくりを目指しています。「自分のことは自分でする」を目標に、学習環境や生活習慣への意識を高めます。4年生ではStageⅠの最高学年としての自覚を養います。運動会などの行事でもリーダーとして頑張っています。

 1年生から英語学習、主体的で対話的な学び、充実した図書館など、成長を支える学習環境を整えています。また校内外での多彩な体験学習を実施し、頭で考えるだけでなく、実感を伴った経験から、探究心を深めます。

StageⅡ:5年生~8年生(小学5年生~中学2年生)

【主体性の育成】

 小学校から中学校へのスムーズな進学を図り、他との関わりや学びにおける主体性の育成を目指しています。友達との関わりのなかで多くを学び、豊かな人間関係を築きます。集団のなかで自らの役割を実践しながら、StageⅢに向けての自信を育みます。

 StageⅡでは教科担任制、習熟度対応、50分授業なります。授業の中ではプレゼンテーションやディベートなどを行い、主体的に学ぶ姿勢を養います。

また異学年交流や国際交流、支援活動により「人の役に立てるこころ」を養います。

StageⅢ:9年生~12年生(中学3年生~高校3年生)

【使命感の涵養】

 自己理解・他者理解に基づく使命感を養い、実行力のある女性の育成を目指しています。多様な生き方に触れ、人としてより豊かな経験を積み重ねます。将来に向けた自分の生き方について考え、希望する進路を選択・決定できる資質・能力を育成します。

 進路に対応した選択科目、エッセイ、論文の作成など将来につながる学力を育てます。

また姉妹校とのネットワーク、海外体験学習、ボランティア活動を通して愛に根ざした生き方を育てます。

 聖心女子学院では「プロファイル」と呼ばれる教育の指標があります。高校を卒業する12年生までに身につけてもらいたい基礎的な力や態度を「①魂を育てる②知性を磨く③実行力を養う④社会性⑤意志力⑥生き方における志向性」という6つのカテゴリー、60項目にまとめたものがあります。本学院の学習指導や生活指導はすべてこの「プロファイル」に沿って行われますが、卒業時には、生徒にプロファイルに基づいた自己評価をして頂きます。

【訪問を終えて】

 小学校の門をくぐると、広大な敷地に豊富な自然があり、「マイヤークラブ」という放課後保育では、その自然の中、1年生から6年生まで一緒に学んだり、遊んだりしているそうです。また校内を見学させて頂きましたが、3.4年生の廊下に6年生の修学旅行の日記が飾っていたり、工作などの作品を廊下に展示しており、自然と異学年との交流ができる仕組みづくりができている学校だと感じました。

 12年間を3つのStageに分け、それぞれの発達段階に適した学習指導や生活指導を行えることは、安心した学校生活を行う上で大きな魅力ではないでしょうか。

【ピグマリオンとの関連性】

 小林聖心女子学院小学校の教育方針である「魂を育てる」「知性を磨く」「実行力を養う」は、ピグマリオンの「知」「徳」「体」の教育と関連性があります。  ですから、入学後も安心して、ピグマリオンで育てた「知」「徳」「体」で、「魂を育てる」「知性を磨く」「実行力を養う」ことを育て続けることが出来るでしょう。

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