♢私立小学校訪問記/きのくに子どもの村小学校
2022.02.12
橋本市の山中を車で走っていると雪が残る自然の中に小学校がありました。
本日は全国で5か所の小学校の理事長である、きのくに子どもの村学園の学園長先生と副学園長先生と面談しました。
下記に学園長先生とお話しした内容を列記します。
【学校では、教育の目的をどのように考えていますか】
「自由な子ども」に育つことを教育の目標としています。
私たちは、どの子にも感情、知性、人間関係のいずれの面でも「自由な子ども」、つまり次のような子どもに育ってほしいと願っています。
・感情面の自由
無意識の中に秘められた不安、緊張、自己否定間などから解放され、情緒がいきいきと躍動すると同時に、自己意識がしっかりしていて、しかも自信と自己肯定感をもって生きる子になって欲しいと考えています。
・知性の自由
規制の知識や技術を受け身的に習得するのではなく、生活の中から見つけた具体的な課題に取り組み、知識や技術を創造する体験を積み重ねて、知的探求の態度と力を伸ばしてほしいと考えています。
・人間関係の自由
徳目主義の上からの道徳教育によってではなく、心理的に自立した個人として、みんなと目標を共有し、役割を分担して問題解決する体験に参加して、共に生きる喜びを味わい、人間関係のすべを学んでほしいと考えています。
【入学するためにはどのようにすればよいのでしょうか】
まずは学校見学に来てください。おもちゃ教室などのイベントに参加して頂き、本校のことを知って頂きたいと考えています。
その後2泊3日の体験入学(学校での寮生活になります)に参加して頂き、保護者さまと面談させていただき、総合的に判断させていただきます。筆記試験はございません。
本校の理念をご家族のみなさまでしっかりご理解いただいた上で出願ください。
【きのくに子どもの村小学校の教育の内容】
教育の目標である「自由な子ども」を育てるため、「自己決定の原則」、「個性化の原則」、「体験学習の原則」を教育の基本方針をしています。
また授業についてもお話しさせていただきます。
1.自己決定の原則
子どもがいろいろなことを決めます。
学習計画や行事の立案は子どもと大人の話し合いで決まります。自分の入るクラスが選べます。クラスミーティング、寮のミーティング、そして全校集会など、話し合いのとても多い学校です。子どもたちが決めることで「知識を創り出す」ことができると考えています。
好きなことを自分で選び、学ぶので、覚えるのが早いです。
2.個性の原則
一人ひとりの違いや興味が大事にされます。
個性や個人差を尊重します。年齢が同じだからといって、同じことを同じ方法で、同じペースで、同じ答えに向かって学習するのではありません。広い範囲のさまざまな学習や活動が選びます。
3.体験学習の原則
直接体験や実際生活が学習の中心になっています。
本やドリルの勉強よりも、実際に作ったり、調べたりする活動を重視します。
本校では「プロジェクト」と呼ばれる活動が時間割の半分を占めています。クラスはプロジェクトのテーマによってつくられ、子どもたちは好きなところを選んで所属します。
4.授業について
・プロジェクト
単なる教科の寄せ集めではなく、有名な教育学者デューイの提唱した「活動的な仕事」に当たります。異年齢混合で体験学習を週14時間行います。
2020年には、工務店、劇団ひのくに、ファーム、おもしろ料理店、クラフト館、の5つのプロジェクトを子どもたちが選び、活動しました。田植えや大工仕事、料理など社会生活に結びつけた学びを大切にしています。
・自由選択、ミーティング
個別活動よりもグループ活動が中心の時間です。スポーツ、図工、音楽、英会話など、たくさんのメニューから1学期ごとに選びます。週3回、計6時間行います。
ミーティングは、週1回の全校集会の他に、クラスのミーティングや全寮ミーティングなどを折にふれて開かれます。犬委員会や遠足委員会などの仕事もあります。
議長は子どもが担当し、議論を尽くして多数決をするときは大人も子どもも同じ1票で投票をします。
・基礎学習
自己決定と個性化の原則を大切にし、しかもできるだけプロジェクトと結び付けて学習するようにしています。「ことば」、「かず」合わせて週7時間行います。
【訪問を終えて】
学園長先生は幼児教育時に行った創造的な体験学習が、自発的に物事を考え、失敗を恐れない素敵な子どもに育った経験から、小学校でもやってみたいとの想いから本校を設立されたとのことです。
現在では全国でグループの小学校が5校あり、入学待ちになるほどの人気校です。
子どもたちが考え、子どもたちが決めて行う活動が多いからでしょうか、授業中でも休み時間でもみんな楽しそうに活動しているのが印象的でした。
【ピグマリオンとの関連性】
きのくに子どもの村小学校の教育目標である「自由な子ども」に育つことは、ピグマリオンの「肉体的自立」、「精神的自立」「知的自立」の教育と関連性があります。
ですから、入学後も安心して、ピグマリオンで育てた「自立心」を育て続けることが出来るでしょう。