♢私立小学校訪問記/京都女子大学附属小学校
2022.01.19
校舎に入ると幼少期の親鸞聖人の像がありました。毎朝児童は合掌をし、学校生活が始まります。
本日は「国語力は人間力」が合い言葉の京都女子大学附属小学校の京都女子大学の教授でもある校長先生と教頭先生と面談しました。
以下は校長先生、教頭先生とお話ししたことを列記します。
【学校では、教育の目的をどのように考えていますか】
建学の精神である仏教精神に基づいて「こころの教育」を実践し、子どもたちを育成してまいりました。本校の子どもたちには「ちかい」があります。それぞれに「率直さ」「笑顔」「優しさ」があり、知識や技能を蓄えて「真実」を求める力、そして「約束」を果たし「仕事」に励み、人間と社会の関係を豊かに築く力をつけるというものです。
このような子ども像のもと、「国語力は人間力」を合い言葉として、学校生活と学習の中で、基礎基本となる「人間力の根」を育てます。
【受験対策はどのようにすればよいのでしょうか】
ペーパーテスト、面接テスト、運動・行動観察、親子面接があります。
- ペーパーテスト
推理、言語、図形、記憶など一般的な思考力の問題が出ます。
2.面接テスト
先生が物語などの話をして質問します。お話をきちんと聞けているか、適切な回答ができているかを見ます。
3.運動・行動観察
運動は鉄棒や縄跳びなど小学校入学前に体験してほしいことができているかを見ます。行動観察はルールを守れるか、ルールを理解できているか、周りとの協調性を見ます。
4.親子面接
保護者様には本校の教育理念に対するご理解、志望理由、ご家庭での教育方針を聞きます。お子さまには園での生活、家での生活などを聞きます。
【京都女子大学附属小学校の教育の内容】
3つの教育の柱と国語力についてお話したいと思います。
- 基礎学力を育てる
基礎学力を育てるための5つのプロジェクトがあります。
①ことのはプロジェクト
国語力でみんなとつながる子どもを育てます。
「附小音読集会」「附小言語力検定」「つながる附小ノート検定」「声を鍛える取り組み」を通して他者を感じ、個と個をつなげます。
②プログラミング・メディアプロジェクト
プログラミングコンテストへの参加やPCやタブレットを用いたプログラミング学習により問題解決に必要な論理的思考を育てます。
③未来・かがやきプロジェクト
親子スポーツ大会、京都サンガとの交流、天体観測会など子どもたちがワクワクするような様々な活動を通して、将来のキャリアにつなげます。
④グローバル英語プロジェクト
TOEFL Primary、全校イングリッシュタイム、アメリカのニュースや話題の紹介など多彩な英語活動を通して、意欲的に英語を話そうとする子どもを育てます。
⑤SDGsプロジェクト
鴨川清掃、通学路清掃、京エコロジーセンターでの体験、給食完食を目指す取り組みなどを通して、地球のために自分のできることをやろうとする子どもを育てます。
2.こころを育む
自分中心にならずに友だちと協力したり、関わっていこうとしたりする態度を育みます。
自分をみがくプロジェクトとし、「あいさつ」、「言葉づかい」、「技能みがきアップ」を大切にしています。
本校の子どもには「ちかい」があります。
「すなおにみ教えを聞く」「かならず約束を守る」「いつも本当のことをいう」「にこにこ仕事をする」「やさしい心を忘れない」この5つの「ちかい」は月曜日の全校朝礼の時に、全校児童で唱和をします。「ちかい」に則した行いには「みひかりシール」を渡し、頑張りを励まします。60枚で1冊手帳がたまりますが、子どもたちはシールがたまるのがうれしくて率先して「ちかい」に則した行いをします。
3.友だちをつくる
同年齢集団の学級活動や異年齢集団の学校行事・児童会活動を通して、友だちとともに生きることができる子どもを育てます。
低学年での友だちづくりのポイントは「友だちのすてきなところ」「よいと思ったこと」を出し合い交流をすることです。「思いやりの木」に書かれた自分を認めてくれるたくさんのお友だちからのカードは宝物です。
中学年での友だちづくりのポイントは、「協力し合う必要性」に気づき、工夫する場を設けることです。旗取りゲームでは、グループで役割を決め、時には我慢して相手チームの旗を取ることができた爽快感は格別です。
高学年では一人ひとりが学級に対する思いを持ち、そのすべてを「瓦版」に載せ、みんなで読み合います。お互いの思いを知り、認め合ったり、折り合いをつけたりする「話し合う場」を持ち、全校のリーダー、能動的フォロワーとしての資質を磨きます。
4.国語力
理数力も問題を正しく把握するためには国語力が必要です。
国語力を育成する授業を展開し、高い学力と豊かな人間形成を実現します。
①読む力
附小音読集会は、毎週月曜日の合同朝礼終了後の1時間目に全校集会の形式で体育館にて行っています。各学年に応じた詩をクラスごとに音読する中で、詩や古典に触れあいながら国語力の育成を目指します。
②書く力
ノートは、学ぶ力の基礎を育てる大事なはたらきをするものなので、どの学年においても、まずていねいに書かせることが大切と考え、「附小ノート検定」を行っています。 附小ノート検定は、2ヵ月おきに月曜日の全校朝礼、音読集会終了後に体育館で行われます。月ごとに検定される科目が違い、国語・算数・理科・社会の4科目のノートを主に行います。
③言語の力
「国語力」の底辺となっているものに「言語の力」があります。附小言語力検定では小学校六年間のうちに、児童に身につけさせたい「言語の力」を選定し、各月ごとに検定を行っています。
④話す力・聞く力
朝の会、終わりの会、授業中などで機会を設けてスピーチをします。適切に表現し、考えながら話す力、聞く力を育成します。
【訪問を終えて】
京都女子大学附属小学校では、検定、発表会、読書週間など独自のさまざまな取組が行われています。その国語力教育の成果が書籍として10冊にも及んでいます。
本校の国語力は教科としての国語ではなく、全ての学びの土台であり、教科横断的な学びといえるでしょう。
【ピグマリオンとの関連性】
京都女子大学附属小学校の「生涯にわたって学び続けることのできる確かな学力と人間力」を育てる教育は、ピグマリオンの思考力教育、二人称教育に関連性があります。
ですから、入学後も安心して、ピグマリオンの思考力教育、二人称教育で育てた「確かな学力」、「人間力」を発揮してください。